ケグシェアリングサービス「レン樽」

また物流費が上がりそうですね・・・もうすでに上がっているところもあるようで、そんな話題がちらほら聞こえてきています。ただでさえ安くはないクラフトビールなのに配送にかかるコストはここ数年ずっと上昇傾向。ビール自体の品質向上はもちろん大事なのですが、流通についても考えておかねばなりません。これはのっぴきならない大きな問題なのです。

ケグのトータルソリューションとその実例についてという話で以前アメリカのMicrostarの事業をご紹介しました。詳しくは本文を当たって頂きたいのですが、日本にもそれに似たサービスが始まりそうなのでご紹介致します。

レン樽

こちらはシェアリングサービスで、ケグを必要な時に必要なだけレンタルしてビールを充填・出荷出来るもの。空樽の回収も飲食店がアプリで依頼すれば引き取りに来てくれます。概要は言葉で語るよりも図表を見たほうが早いのでスクリーンショットを載せておきます。

先日その仕掛け人であるPeter Rothenberg氏に直接お話を伺って参りましたので、その時の質問も合わせてご覧ください。

このサービスを始めようと思ったきっかけは?

まずはビールが好きです。その上で市場の状況を見て、ですね。日本のクラフトビールには「大量生産でない・運送費が高い・酒税も高い」という問題が見えていて、市場に必要であり、自分の強みを活かしつつビジネスになるところで運送に取り組もうと思いました。

日本のクラフトビールに関する課題は何だと思っていますか?

物流の面から考えると、インフラがまだ整っていないことです。海外ではすでにありますが、日本ではシェアリングエコノミーは遅れています。ビールのインフラに影響を与え、私たちは日本のマイクロマスターになりたいと思っています。

具体的なサービス内容としては?

サンキーSタイプの10L・15Lを用意していて、6月から開始の予定です。洗浄は各ブルワリーで行いますが、ケグのメンテナンスはこちらで行います。アプリを使ってQRコードを読み込み、ケグを管理出来ます。レンタル費用とは別にデポジットはかからず、飲食店から引取り依頼があれば全国どこにでも回収に行きます。

今後日本のクラフトビールシーンはどうなっていって欲しいと思いますか?

日本を代表するビールが生まれてほしいですね。固いイメージではなくて、これもビールか!という発見を通じて自分の世界観を広げられたら良いと思います。もっと多くの人にビールを通して世界観を広げてもらうためにはもっと値段が下がらないと。ケグシェアリングすれば運送費が下げられます。そこでブルワリーには新たなキャッシュフローが生まれるし、そのおかげで次が仕掛けられます。

・・・納得。基本的にCRAFT DRINKSも同じように考えています。

物流費が高騰している今、ケグシェリングかワンウェイケグのどちらかを導入すべきタイミングなのかもしれません。CRAFT DRINKSではKeykeg(キーケグ)およびUnikeg(ユニケグ)というワンウェイケグを扱っており、立場としては後者を推しています。洗浄不要で約1.2barの圧力がすでにかかっており、予備的な作業が一切要らないからです。そのまますぐに充填出来、その結果大幅に労務コストを削減できます。しかし、ワンウェイケグなので最終的にはゴミが出ます。他方、シェアリングであればゴミは一切出ないけれど、洗浄作業などは今まで通りやらなくてはならない。どちらにせよトレードオフになってしまう部分が必ずあってブルワリーの状況に応じて最適解は違うと思います。もちろんコストのこともあるでしょう。すぐに採用とはならなくても、どちらが合っているか検討しておくのも良いのではないかと思います。費用についてはレン樽のHPから直接問い合わせてご確認ください。

ケグシェアリングサービスが生まれたことでまた一つ日本のクラフトビールシーンは進化します。これを機に是非ビールの物流についても考えてみてください。