2017年のデータから予想する大手の力
CRAFT BREWING BUSINESSという専門サイトにBeerBoardというクラフトビール系サービスを展開する企業の発表した2017年のクラフトビールシーンのデータが紹介されています。それほど長くもないですが、ポイントが押さえられていて非常に良いものなので是非御覧ください。シーンの流れがよく分かると思います。
2017 Beer Report by BeerBoard A Look Back at Style and Brand Performance
トピックは多岐に渡りますが、今回特に注目したいのはIPAと大手の力について。
More, more, more
As we all know, the number of breweries and the brands they produce continues to skyrocket. In 2017, BeerBoard tracked 1,970 different IPAs poured – up from 1,469 in 2016 (+34%) – the clear style leader in terms of number of brands poured. Stouts came in second at 921 (up from 796 in 2016), while Fruit/Hybrid checked in at 855 (up from 782 in 2016).
ご存知の通り、ブルワリーやブランドは右肩上がりで増加しています。2016年の1469種類に比べ34%上昇して1970種のIPAがリリースされました。ブランド数という点では間違いなくシーンを牽引するものです。次いでスタウトが2016年の796種類に対して921種に増加。フルーツ/ハイブリッドも2016年の782種類に対して855種に増加。
IPA全盛であることは疑いようもなく、その勢いは更に増しているように思います。世間の認識としてクラフトビールと言えばIPA、なのかもしれません。大きな流れとしてIPAが依然として伸びているということをまずは押さえておきましょう。
次に具体的に伸びているものについて。
IPA
The dominant style in craft and #3 overall, IPA continued its climb in 2017. While its meteoric growth has slowed a bit, the style was still +15.5 percent for the year and continues to chip away at Light Lager and Lager in the positions ahead of it.
・Lagunitas moved into the pole position (up from #2 in 2016) off a slight increase of 7.9 percent.
・Bells Two Hearted was bumped down to #2 within the style, even with a modest 1.3 percent increase over 2016.
・Founders All Day increased a healthy 57.9 percent and moved up from #8 to #5 for the year.
・On the strength of an 800 percent increase, Elysian Space Dust was the biggest climber within the style, moving to #13 all the way from #90.
クラフトにおける主要スタイルであり、全体で3位のIPAは2017年も増加を続けています。天文学的な伸び方に陰りは見えるものの、2017年には15.5%増加しました。ライトラガー、ラガーに徐々に迫ってきています。
・Lagunitasは7.9%増加し、2016年の2位から1位に
・Bells Two Heartedは1.3%増加したが、2位に
・Founders All Dayは57.9%増加。8位から5位に上昇
・Elysian Space Dustは800%増加し、このスタイルの中で一番の伸び。90位から一気に13位へ
ここで挙げられている名柄は非常に有名で評価の高いものばかりですが、そのクオリティだけが要因ではないと考えます。Lagunitasはハイネケン傘下になりましたし、Elysianも現在インベヴ傘下です。Foundersもサンミゲルと提携しています。大手のディスストリビューション能力をてこにしてグッと伸ばしてきたのだと予想します。
クラフトブルワリーの大手になるとその生産量も尋常ではありませんが、ブルワリーも全米で6000軒を超え、シーン全体の伸び方が鈍化していると指摘されています。特にクラフト大手の伸び悩みはここ数年よく話題になります。厳しい状況になりつつある中で販売量を増やしていく場合、自前でコツコツやるよりも大きなところと一緒になってそれぞれのリソースを活かす方がスピード感があります。一部例外はあるものの、アメリカは基本的に正販三層に則ってビールは流通していますから各地にホールセラーを押さえることが極めて重要です。大手の構築した強固な販売網に乗ることで爆発的な伸びも期待できます。買収を悪く捉える人もいらっしゃるでしょうが、物流やプロモーションの効率化という側面から考えると非常に合理的なのかもしれません。
蛇足ですが、最後に少しだけ。アンバーエールはモルトの味わいもちゃんとあってとても好きなのですが、人気無いのですねぇ・・・
What was trending:
The top five styles remain unchanged from 2016 through 2017: #1 Light Lager, #2 Lager, #3 IPA, #4 Belgian Wit/White Ale, #5 Euro Lagers. When breaking down the styles, some interesting trends were revealed:
・Continuing its strong performance year-over-year, IPAs grew 15.5 percent in 2017. The popular style was up to 8.85 percent from 7.66 percent in 2016 (+1.19 percent).
・Wheat/Hefeweizen came in at #6, up from #8 in 2016. It grew 27.6 percent in the year and claimed a 3.19 percent share.
・Pale Ale also made a solid jump, climbing 17 percent to come in at #10 overall (up from #11 in 2016)
・On the flip side, Amber/Red Ale saw a significant drop in 2017, down 47.8 percent, falling from #10 in 2016 to #14 in 2017.
・Ciders also a decline in 2017, down 14.8 percent and falling from #7 to #9 as a style.
2016年から2017年にかけてスタイル別top5は変動なし。#1 Light Lager, #2 Lager, #3 IPA, #4 Belgian Wit/White Ale, #5 Euro Lagers。変化したところから興味深いトレンドの流れが見えてきます。
・IPAは依然としてものすごいパフォーマンスを発揮。2017年15.5%伸び、全体に占める割合として前年の7.66%から8.85%に。
・Wheat/Hefeweizenは2016年8位から6位に。27.6%伸び、全体のシェアも3.19%に。
・Pale Aleも好調。17%伸びて2016年11位から10位に。
・Amber/Red Aleは47.8%と大幅なダウン。2016年10位から14位に。
・Cidersは14.8%ダウンし、2016年7位から9位に。