ポートランドブルワリー体験記 10 barrel Brewing

前回のback pedal brewingのすぐ隣に10 barrel Brewingはあります。本当に隣で、同業種のお店がこんなに近くてイイの?と思うくらい。

店内のサインがかっこいいです。

At 10 barrel brewing #10barrel #portland

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黒板のメニューもアメリカっぽく、オシャレ。

Today’s menu on black board at 10 barrel brewing #10barrel #portland

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10種類のサンプラーセットをオーダー。こちらではサンプラーセットの内容は決まっていて、何かを足したり減らしたりは出来ませんでした。季節先取りのパンプキンサワーエールとアザッカをフィーチャーしたIPAがとても美味しい。

Samplers of 10 barrel brewing. Sour pumpkin ale and azzaca IPA are so nice. #10barrel #azzaca #pumpkin #sour

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チーズバーガーと共に。おそらくチャコールグリルしたパティで、ロースティな風味が食欲をそそります。

Cheese burger 🍔 with sampler set. #10barrel #portland #sampler #cheese #burger

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店内の風景。日本では法律上ありえないのですが、醸造設備と飲食空間が仕切られていません。タンクなどはむき出しのまま、レストランフロアにあります。

Nice atmosphere. Cozy place. #portland #10barrel

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ブルーパブに限ったことではないのですが、アメリカのレストランではテーブルごとに担当者(サーバーと言います)が決まっていて、その人が全て面倒見てくれます。他の人に頼んでも「あー、それは担当サーバーに言ってね」と軽くあしらわれてしまう。チップ文化なのでそこはきっちりしているのですね。今回の担当サーバーはとてもサービスマンシップのある方でとても気持ちよく過ごさせてくれました。ただ、何かとペタペタ触ってくるし、歩く時なんだか妙にクネクネしている。うーん、たぶんゲイ。これもアメリカだ。

さて、今回のポートランド訪問で絶対に行きたかったブルワリーの1つがここ10barrel brewingでした。アンハイザーブッシュインベヴに買収された醸造所で、BAの定義からするとクラフトブルワリーではありません。インベヴが買収したということはこの醸造所に今後伸びるであろうポイントや魅力があるからに違いないと思ったのです。それが何なのか、実際に訪問して感じたかったのでした。

来ているお客さんの年齢層は幅広く、60代の方もいらっしゃったように見えました。天井も高くて開放感があり、非常にオシャレで心地よい空間。お食事も非常に洗練されていて、粗野な感じが一切しません。席について周りを見渡した時に「あ、代官山のSVBに似ている」と思いました。クラフトであろうがそうでなかろうが、心地よい空間には人が集まるものです。その意味でここは極めて精緻にデザインされていました。コンセプトから内装、カトラリーに至るまで全部プロの仕事なんだろうなぁ・・・と思わせるシームレスな仕上がり。ビールを中心に据えた総合エンターテインメントとしては最高の部類だと断言して良いと思います。

少しずつお客さんが増えてきて満席に近くなって来た頃、ふと気が付いたのです。

白人しかいない。

年齢層は幅広いし男女比も半々くらいなのだけれど、メキシコ系、アフリカ系、カリブ系、アジア系の人が一人もいなかったのです。これはここに限った話ではなく、ポートランドの真ん中はみんなこんな感じでした。歩いて通える範囲に住んでいる人は白人の人が多いのかしら・・・

本題のビールについて。
結論から言うと、全て一定以上のクオリティを担保していてマズいものは1つもありませんでした。私の個人的な好みに若干合わないものはありましたが、テクニカルなエラーは無く85点以上のものばかりで全部ちゃんと美味しい。ピルスナー、IPA、サワーエールにバレルエイジもラインナップしていて、「個性を楽しむ」とか「自分の好きなものを好きなように」という考え方にぴったりな味わいのバリエーション。正にビールの多様性を表現しています。この部分は高く評価したいと素直に思うのです。10barrel brewing、絶対おすすめです。

しかし、ちょっとだけ気になる点が。
実は10barrel brewingで提供されているビールは全種類ここで作っているわけではありません。メニューの各ビールにマークが付いていて、マーク付きはここで作ったもの。そうでないものは「他所で作っている10barrel brewing名義のビール」を表します。前述の通りインベヴ系の醸造所ですし、全液種ここで作る必要は全く無い。それは分かるのです。しかし、たとえばセントラルキッチン方式のレストランチェーンにクラフトを感じるかどうか、というような点を是非考えてみて頂きたい。マスプロダクトではないクラフトビールにおいて結構重要だと思うのです。単なる飲酒行為ではなくコト消費的なスタンスが強いと個人的には思っているので、せっかく来たのだからここで作ったものが飲みたいなぁとフライトメニューのマークを眺めながら少々恨めしく思ったのでした。ビール自体が良かったので尚更なのです。なんだか、こう、アンビバレント。非常に考えさせられます。

ちなみに10barrel brewingの醸造家は女性です。Tonyaさんはセンスあると思います。