The High End(ハイエンド)
聞き慣れない言葉かもしれませんが、今後注目しなければならないキーワードの一つとしてご紹介したいのが「The High End(ハイエンド)」。wikipediaではハイエンドをこう説明しています。
製品あるいはサービスで最上級の一群の商品を表すときに使われる。対義語はローエンド(Low end)。ラインナップ中、価格、機能、仕様、性能などで最上位のもの、およびその製品が属する価格帯(カテゴリ)をいう。特にパソコン、オーディオ機器、カメラや携帯電話などの評論で用いられる事が多い。また、特定の製品分野では、フラグシップ機とほぼ同様の使われ方をする用語である。
最上位クラスのものという意味で捉えて良いと思いますが、Anheuser-Busch InBev(アンハイザーブッシュインベヴ)においてハイエンドとは同社の最上位かつ最重要ビールブランド群のことを指し、2年前にシカゴに独立したオフィスを構え、精力的に活動している高級レンジ専門の部署でもあります。その副社長が出した少し古い資料ですが、こちらをご覧ください。このハイエンドが志向する方向性がよく分かる非常に興味深い内容です。
現在同社のポートフォリオの中には多数のブランドがありますが、特に以下の3つを最も重要なブランドとしています。
- Stella artois(ステラアルトワ)
Shock Top(ショックトップ)
Goose Island(グースアイランド)
そして、それらをこう位置付けています。(日本語訳は筆者による)
- Stella Artois(ステラアルトワ)→World’s most sophisticated (import) beer「世界一洗練された(輸入)ビール」
Shock Top(ショックトップ)→Accessible Craft「日常的に出会えるクラフト」
Goose Island(グースアイランド)→Discovery Craft「発見し、その深さを知るクラフト」
誠に申し訳ありませんが、各ブランドのコアターゲットやアプローチ方法などに触れていると紙面が足りないので各自資料をご確認ください。
ひと目では同じ会社の傘下にあるものとは見えませんが、自社傘下のブランドの位置付けをきっちり使い分けていてそのポートフォリオ内で全てが完結するよう上手に組まれていると思います。そして、自社ブランド内で段階的に顧客の引き上げを行おうとしているのもよく分かるのです。実際、ステラアルトワからバーボンカウンティまであれば飲むものに全く困らないでしょう。
ハイエンドはここに留まってはいませんし、これからもどんどん仕掛けてきます。その余波は当然日本にもいつか及ぶでしょう。CRAFTY(クラフティ)だとかCRAFT(クラフト)だとかは一旦置いておいて、この堅牢なポートフォリオを前にして色々と考えてみるのも悪くないと思います。