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来月に出る新しいビールのことを少し。プレスリリース自体は3月初旬に出たものですが、近くなりましたのでご紹介。

「ヱビス マイスター」を新発売

サッポロビールから5月17日に「ヱビスより一段上」に位置づける通年定番商品が発売されます。その名も「ヱビス マイスター」。ポジションとしては「ヱビスより上で、白穂乃香よりは下」というところですね。タイアップ記事などもこれからバンバン出ると思いますので、そういうのはそちらに譲ることにします。CRAFTDRINKSが書くのだから、もう少し別の確度から見ていきたいと思います。

プレスリリースを少し引用してみます。

近年、お客様は自分へのご褒美として「より美味しい物」・「より品質の高い物」・「より満足が得られる物」を少量でも少し高くても購入する、メリハリを利かせた消費傾向が顕著になっています。このようなお客様ニーズにお応えするため、ヱビスを知り尽くした全ビール工場と本社の総勢50名を超える技術者(匠)が結集し、厳しい品評を重ねることで、「ふくよかな薫りと研ぎ澄まされたコク」を実現したヱビスの最高峰を造り上げました。

ホップはヱビスビール同様、ハラタウトラディション種(注1)をふんだんに使用し、さらにうまみと薫りが豊潤なロイヤルリーフホップ(注2)を一部使用しました。

こちらは冒頭部分ですが、かなり「クラフトビール」を意識しているのではないかと思わせるニュアンスです。ケでなくて、ハレ。高品質で高い満足感。それをメガブルワリーが達成するにはどうすべきか?という問題に真っ向から取り組んだと見えます。

脚注についている「ロイヤルリーフホップ(注2)」も見てみましょう。

(注2) ハラタウトラディション種のホップ球花を収穫後、乾燥、粉砕し、真空保存したホップ。ペレット化しないため余計な熱や加工処理をかけておらず、より新鮮な香味成分を付与することができる。

ペレットでもなく、完全に生のホールホップでもない、「粉砕ホップ」のようなものを使用したそうです。津々浦々に大量供給するのが使命である大手としてはかなりチャンレンジしたのではないかと思いますが、よく見ると「一部使用しました」でした。なぁんだ、全部じゃないのか・・・とがっかりしてはいけません。津々浦々に出すには死ぬほどホップが必要ですからね。こういう取り組みは素晴らしいと思います。

中味特徴としては以下が挙げられています。

中味特長  ・ハラタウトラディション種ホップ(注1)をふんだんに使用

・ロイヤルリーフホップ(注2)を一部使用

・ふくよかな薫りと研ぎ澄まされたコク

・ホップ2分割添加による香りづけ

何だか、こう、「新しい原料と製法で、新しい味わいが出てますよ!!」って感じに聞こえますね。でも、冷静に考えてみると、「あれ?いつも通りじゃね?」となる気が・・・「ホップ2分割添加による香りづけ」が分かりにくい気もしますが、要は「アロマホップ投入を2回にして、タイミングをすらしている」ってことじゃないかしら?そうだとしたらよくある話で、特別珍しくもないような。とはいえ、ヱビスでは初めての試みなのかもしれないので、どう変わったのか発売されたら試してみたいです。でも・・・

「でも・・・」と言ったのには、訳がありまして・・・これから夏を迎えますが、夏はビール自体にとってリスクの高い時期です。語弊を恐れずに言うなら、本質的には「夏はビールのオフシーズン」と言いたいくらいです。特に家庭用市場に出回る缶ビールは「常温流通」がデフォルトなので品質劣化が心配なのです。醸造所がいくら頑張って美味しいものを作っても良い状態で流通しないのであればもったいないなぁと常々思っています。「粉砕ホップ」のビールが美味しい状態で流通するのを願うばかりです。