【要ブックマーク】ビール樽の種類を押さえておこう② ※2017.6.15追記あり

Feb 18, 2016

前回、【要ブックマーク】ビール樽の種類を押さえておこう ①というタイトルでビール樽を分類してみますと書きました。取り上げるポイントは以下の3つです。こちらが前提となって話が進むので、まだご覧になっていない方はご確認下さい。

  1. リユース性(再利用可能、使い捨て)
  2. 素材(金属、プラスティック)
  3. カーボネーション方式(強制カーボネーション、ナチュラルカーボネーション)

さて、本題です。今回は「強制カーボネーション方式」のケグを取り上げます。ビールには元々ガスが含まれていて、発酵によって自然にできたガスを「ナチュラルカーボネーション」とします。これに対し、今回ご紹介する方式のケグでは抽出する際にガスがビールと直接触れ、元々のガスに加えて新しくガスが溶け込んだり、抜けたりすることがある構造です。全くガスのない状態から人工的にガスを入れることも出来ますし、意図的にガス量を増減させられます。ここではそれを「強制カーボネーション」と呼ぶことにします。

通常使われているステンレス製のケグは洗って再度使用するもので、上記3点から分類すると「再利用・金属・強制カーボネーション方式」となります。
ケグ
醸造所側がケグを購入し、ビールを詰めて出荷。お店から返却され、洗浄してまたビールを詰めるというサイクルとなります。丈夫なものですから、ちゃんと再利用を繰り返すことが出来れば経済的かつエコですね。世界中で当たり前のように使われているのも納得です。しかし、使用したビアパブやバーから醸造所にちゃんと返却されないことも多々あると聞きました。SNSで「ビール詰めたいので、早く返してください!!」という醸造所の投稿を見たことがある方も多いのではないでしょうか。そのような投稿を見ると、「あぁ、夏が来たんだなぁ・・・」と思うようになってしまいました(笑)それはともかく、ビアパブの皆さん、使いきったらケグはちゃんと醸造所に返しましょう。ケグの迷子がたくさんいると醸造所は困ってしまいます。

次は「再利用・プラスティック・強制カーボネーション方式」のケグについて。こちらは現在アメリカからの輸入ものに多い”pubkeg(パブケグ)”です。youtubeの動画をご覧ください。

内部のビールが入っている薬の錠剤のような形の部分、口金の部分などはペットボトル素材で出来ていて、使いきったら燃えないゴミとして捨てます。外側の容器はかなり厚手のプラスティック製でものすごく丈夫に出来ています。こちらは醸造所に返して再利用します。外装だけ再利用、というわけです。上述したように、アメリカからの輸入ビールに多く使われ、外側の容器はアメリカに返却せねばなりません。輸入元が回収している場合もあるそうですが、私が見聞きしている範囲だと業務用ゴミ業者に頼んで廃棄してもらうことも多いようです。ちなみに、捨てずに傘立てやスツールとして使っていらっしゃるお店もあって、初めて見た時「あ、ナイスなアイディアだ!!」と思いました。

今度は完全に使い捨てのものを。「使い捨て・プラスティック・強制カーボネーション方式」のケグはヨーロッパのものに多いです。代表的なものは”dolium(ドリウム)”と”petainer(ペタイナー、ペテイナーとも)”。前者は外装なしのペットボトル素材で、使用後は潰して燃えないごみとして廃棄します。後者は外装が紙素材、中はペットボトル素材です。動画の通り、使用後は別々にしてそれぞれ燃えるゴミ、燃えないゴミとして捨てます。

dolium動画

petainer動画

海外からビールをケグで輸入すると再利用可能な容器では中身が空っぽなのに返却しなくてはなりません。輸送コストを考えると使い捨てケグにメリットがありますね。

今回は「強制カーボネーション方式」のものを取り上げました。次回は「ナチュラルカーボネーション方式」についてです。

 

※2016年7月17日追記
テクノロジーの進化は凄まじく、どんどん新しいものが出てきます。ちょっと気を抜いているとすぐに浦島太郎になってしまいますね・・・

unikeg

keykegを製造するlightweight container社より新しい容器が今年発表されました。その名も“unikeg”(ユニケグ)。ユニケグはキーケグとパブケグの中間のような存在と言えるでしょう。恐らくアメリカ国内消費が念頭にあり、生産工場がアメリカ国内に建設されています。おかげで欧州から輸入する必要がなくなりました。すでにアメリカ50州全てに配送可能なしくみが整っているそうです。なお、サイズは20Lと30Lの二種類。

キーケグの特許技術を応用し、外装は無し。ユニケグ全てをプラスティックのゴミとして廃棄可能です。そして、専用カプラーではなく、アメリカで広く採用されているサンキーDシステムを採用。これは地味に大きな変更で、普及を推し進める大きな要因となるでしょう。とはいえ、こちらは内部のバッグの中にスピアが入っており、抽出方式は「強制カーボネーション」。「捨てるのに全く困らないパブケグ」だと考えれば良いと思います。

さて、一般の方には全く関係ないのですが、プロの方には極めて重要な情報を。ユニケグ20Lの推奨パレタイズはなんと1パレットに80本!!30Lでも48本です。恐らくプロの方はこれを読んで、「なにー、マジか!!」と叫んでいるのではないでしょうか。これからどんどん進化しますよ、ビールもパッケージも。

 

※2017年6月15日追記
オーストラリア発のワンウェイケグがあるので、こちらもご紹介。Oxebarという会社がKegasaurusというプラスティック素材のワンウェイケグを昨年発表しました。中央に汲み上げチューブの入った設計のようですが、中に袋がありません。ドリウムと似た感じですね。カプラーはサンキーAタイプで、容量のバリエーションは30Lと50Lがあります。30Lは直径30cm、高さ59cmでキーケグとほぼ同じ。50Lは高さが88.2cm!日本の飲食店だと大きすぎて使えなさそうですが、たとえば野球場や映画館など「単品を一日にガンガン消費するような、大勢の人が集まる場所」であれば有効かもしれません。南半球のクラフトビールはあまり輸入されていませんが、近年評価を上げている醸造所もたくさんあります。輸入される時はこういう容器で輸入されるかもしれませんね。

実際、Beer & Brewerという専門誌のweb版の記事では同社創業者のKee Doery氏がこう語っています。同感です。

The most exciting thing about this new venture is that we can work with local breweries to export kegs overseas. In the past few years the Australian dollar has made it difficult for Australian breweries to take advantage of export sales of kegs. Now, with the low Australian dollar and a locally made high quality one way keg being manufactured in Victoria we are in a great position to export beers overseas.
この新しい取り組みで一番のやりがいに思うのはローカルブルワリーと共にケグの輸出に尽力できるということです。ここ数年豪ドル為替の問題で醸造所はケグの輸出で利益を出すのが難しかった。けれども、豪ドルは安くなり、地元で生まれた高品質ワンウェイケグがあります。今我々はビールの海外輸出をする良い段階にいます。

ちなみに、オーダーすれば外装をお好みの色で塗装してくれます。遮光も出来るのではないかと思います。気になる方はテクニカルスペシフィケーションも御覧ください。 →specification sheet

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