ビアスタイルのことを考えた 「まずは脊髄反射」

先日、「ビアスタイルのことを考えてみた」というものを書きました。各論にしていくと非常に広範なものになりますが、現在のシーンにとってとても大事なことだろうと思われますので少しずつ書いていきたいと思います。

ビールの品評会に参加したことはありますか?もしくは、それがどんなものかご存知でしょうか?

様々な味わいのビールが世界中に存在し、それらを一度に同じ土俵で評価することは不可能です。ランビックとスタウトとIPAを比べようにも好み以外に判断は無理でしょう。その為、品評会では幾つかの基準を設けて「カテゴリー(部門)」に分けます。各出品者はビールをカテゴリーの基準と照らしあわせて、適合するカテゴリーに出品するのです。審査員はその基準のもとにブラインドで審査をするのが通例です。

ビールの品評会は「基準を統一して」、「そのカテゴリー内で優劣をつけるもの」です。主観ではなくて、客観性を担保しなくてはなりません。ボクシングなど格闘技の階級分けをイメージして頂ければ良いかと思います。勝ちたい人や評価を受けたい人はそのビールに適切なカテゴリーへエントリーすれば良い。「品評会内で区別するためのカテゴリー名」は「一般の呼び方」と意味合いも厳密さも違います。そこを押さえて置かなければ、「ビアスタイル」という極めて曖昧な言葉は迷走していくばかりだと思うのです。(この点は今後詳しく色々と書いていきたいと思います。)

mongamy

先日、こんなビールを飲みました。こちらは”Brett Barrel Aged Centennial Hop Ale with Apricot and Peach”という但し書きがついています。うーん、とりえず長い!(苦笑)それはさておき、一般に理解してもらいやすいよう、「製法」や「原料」を羅列するとこうなるのでしょう。でも、品評会にこんなカテゴリーがあるとは限りません。恐らくないです。だから、”Barrel Aged Beer”カテゴリーか何かに出品することになると思われます。しかし、元々勝負に興味がない人や出したいカテゴリーのない人は出さなくても良いわけで。そこは自由です。だから、一般に発売するにあたってこの但し書きは全く問題ない。とっても美味しいビールですし、誰かと勝負しているのでもありませんから、消費者である私達は無理してカテゴリー分けをして認識しなくても良いと思うのです。そのまま、ありのままを受け取り、「フクロウのビールは美味しかった!」で良い。それ以上でもそれ以下でもない。

ちなみに、このビールは外国のお友達におみやげで頂いたbellwoods breweryというカナダ・トロントの醸造所のものです。トロントの鈴木さん、かな?(笑い)開業してまだ四年ちょっとだそうですが、本当に素晴らしいお酒を醸しています。キュートで少しひねくれていてサバサバしたところもある。なんだか、インテリ美大生って感じでしょうか。引き算の上手なお酒っていいですね。品評会でもないのであれば、とりあえずビアスタイル名なんて、どうでもいいのです。頭で飲む前に、まずは脊髄反射。これが大前提で、正解です。