スプリングバレー、「木樽熟成シリーズ~樽熟FIRST CROSSING」発売

Dec 4, 2015

2015年11月26日にキリンビールから興味深いプレスリリースが出ました。世界的に流行しつつある樽熟成ビール(英語でbarrel-aged、バレルエイジド)を新発売するとのことです。プレスリリースの本文を少し引用してみます。

「木樽熟成シリーズ~樽熟FIRST CROSSING」は、麦芽と発酵由来の甘い香りとネルソンソーヴィンホップの華やかな香りに加え、バーボン樽由来の甘く芳醇な香りと複雑で芳醇な味わいが特徴のビールです。実際にキリンディスティラリー御殿場工場でバーボンの熟成に使用していた木樽に、当社通年販売商品である「First Crossing」※を詰めて、スプリングバレーブルワリー東京店舗内で4カ月間熟成させ、さらに、熟成されていない「First Crossing」とブレンドさせることで、飲みやすさを担保しながら、より複雑で奥深い味わいに仕上げました。

ウイスキーの空樽を使用したもののようです。樽熟成ビールは樽由来のバニラ香などがビールについて独特の風味になります。世界中のビールファンの間で近年急速に人気が出ており、その流れを受けての発表ではないかと思います。

ビールは現在金属製タンクで作るのが一般的です。商業醸造所であればタンクのサイズは小さくても数百L、大きければ数千Lにもなり、瓶詰め出来る本数は結構な数になります。それに対して樽熟成ビールは希少性が高い。樽の容量は大きくても数百L。(よくある大きさとしては200L程度)当然樽の置き場所も必要ですし、樽ごとに仕上がりが微妙に違うので品質や風味の安定化が大変です。その希少性も相まって多少値段が高くても売れているというのもあると思います。

日本ではまだまだ国産樽熟成ビールは一般的ではありません。技術的な問題、置き場所の問題もあるかもしれませんが、一番は「樽の調達が大変」だからでしょう。国内に樽工場(英語でcooperageと言います。)があまり無く、欧州、アメリカなどから輸入するのも大変です。醸造家自身は樽熟成に関して非常に興味を持っていると想像しますが、日本のクラフトブルワリーが樽熟成ビールをあまりリリースしないのはその辺りに原因があるのではないかと思います。

その意味でいうと、日本のビール大手は自前でウイスキーの蒸留所、ワイナリーを所有しています。例えば、ウイスキーの蒸留所を挙げてみましょう。

サントリー 山崎、白州
アサヒ(ニッカ) 余市、宮城峡
キリン 軽井沢(閉鎖)、御殿場

空樽は自前で用意できますし、置き場所にも困りません。醸造所もあるし、ブレンディング室もある。始めるのは簡単なはずです。今回スプリングバレーが発売する樽熟成ビールがウケたら、他の会社も続々と投入することでしょう。

日本において樽熟成ビールは大手の方がやり易いのは間違いないです。ただ、まだマニアック過ぎます。
ちょっと早い。だから、プレスリリースにこうあるのだと思います。

熟成されていない「First Crossing」とブレンドさせることで、飲みやすさを担保しながら、より複雑で奥深い味わいに仕上げました。

樽熟成100%のいかつい風味に初めて召し上がる方がビックリしないように、少し「手加減」しているのだと考えます。これが本気なのではありません。「出来るけれど、まだやらない」のが今現在の大手のやり方。

Related Post



RELATED POSTS