CRAFT DRINKS的 “Beer of the year” ランビック編

CRAFT DRINKSでは不定期ではありますが、その時々のお勉強を備忘録的に写真を交えてご紹介して参りました。Instagramのアカウントに勉強の記録を残していますので、宜しければご覧ください。→@craft_drinks
そんな楽しい勉強(笑)の中、2016年に飲んで非常に質の高かったビール、印象に残っているビールを幾つかの部門に分けて”Beer of the year” として挙げていきたいと思います。

第三回目の今日は「ランビック」

img_2347

欧和 さくらランビック 2012。

今年も色々なランビックを飲みましたが、一番印象に残っているのがこれ。今井さん、素敵なものをありがとう。

ベルギー在住の醸造家である今井礼欧さんのブランド「欧和」には欧和、黒欧和、欧和クリスマス、そして樽熟成させた欧和グランクリュがありますが、ランビックも柚子、梅、桜の葉を漬け込んだものが3種類発売されています。de trochのランビックをベースに日本産の柚子の皮や青梅、桜の葉を漬け込んで作るそうです。

今井さんが帰国された際にお目にかかり、一緒にお酒を飲みながら色々なお話をしました。その時、記念に2012年のさくらランビックのラベルに自筆のサインをして頂いたのでした。実はラベルは和紙で出来ています。今井さんのこだわりが感じられますね。冷蔵保管している間に和紙が悪くなるといけないのでラップで巻いておきました。

3年以上寝かせたと思いますが、風味のこなれ方が尋常ではありませんでした。桜の葉の風味は長生きしないかもしれないなぁと思っていましたが、良い意味で予想が裏切られました。複雑で厚みがあり、主張があるのに自然。渾然一体となった調和とはこういうものではなかろうか。酸も強すぎず、滑らかに入ってきます。素晴らしい。

さてさて、ランビックはベルギーの伝統的なお酒ですが、それを日本人である今井さんが日本人らしいフレーバーを乗せて再構築したという点、そしてそれが極めて高いレベルにあるということはもっと多くの人に知られて良い事実だと思います。今井さんに伺ったところによると、近年北欧への輸出がものすごく増えているそうです。酒税の高い北欧でもこれらのランビックがとても人気だということは価格以上に味わいが高く評価されている証拠でもあると思います。世界はすでにそういう認識でいるのかもしれません。おいしい酸味についてもっと認知が高まって欲しいと心から願います。

麦を醸造しているから便宜上ビールになるわけですが、「たまたま麦で出来ているおいしい液体」くらいに緩く捉えて挙げたほうが楽しいような気がします。酸っぱくても、おいしいものはおいしいのだ。

ちなみに、カバー写真は去年訪れたカンティヨン醸造所の樽倉庫の通路。また行きたい。