エドさん、缶ビールやめるってよ

クラフトビールの流行が叫ばれて久しいアメリカ。飲食店での消費は実は全体の30%ほどで、多くは家庭用が占めます。要するに、スーパーやコンビニ、酒屋さんで買って帰りお家で飲んでいるということです。

コンビニの風景を思い出して欲しいのですが、あまり瓶ビールを置いていないですよね?基本的には缶です。容器として缶は軽くて運びやすく、瓶に比べてかさばらない。コンパクトな大きさで棚の場所を余計に取らないし、飲んだ後捨てるのも簡単。お手軽さだけでなく、物流等々から見ても現状では最適解だと思います。

だから、クラフトブルワリーは拡大するに従って缶をものすごく重視します。設備投資として缶詰めラインを導入し、まずは地元、そして他の州にもどんどん出していきます、販売量を伸ばしていく為の方法としてはよくある王道パターンです。とにもかくにも取り扱い店を増やすには「缶」なのです。

そんな流れにもかかわらず、「缶ビール、やーめた!」という醸造所が現れました。衝撃的です。何故なのだろうか?the full pintの記事を是非読んでみてください。

Wynkoop Brewing Set To Cease Canning and Distributing

大事な部分を引用しておきましょう。ざっくりですが訳しておきます。

After significant consideration, the Wynkoop team has decided to stop packaging beer for retail sales in order to refocus on the brewpub. “Since 2011, we have sold our beer at retail locations in Denver and the Front Range. As much fun as we have had with selling beer outside the Wynkoop, we have realized that the production challenges associated with supporting retail sales are limiting our ability to do what we love best – brewing innovative, beautiful beer in the heart of Denver and serving it across our bar to some of best people with which you could ever hope to share a drink or a meal,” says Ed Cerkovnik, President of Wynkoop.
悩み抜いた末、外販向けの缶ビール製造はやめ、ブルーパブに力を入れることになりました。”2011年以来、外販していてそれはそれで良かったのですが、外販をしていると本当にやりたいことがやりにくくなってしまうと気が付きました。デンバーの真ん中で革新的で美しいビールを作ること、そして自分のお店で最高の仲間にビールをサーブすること、それがやりたかったのだから。” 社長のエドさんはこう語っています。

この判断は資本主義的には間違いだと思います。しかし、産業ではなく「生き様」や「生業」なのであれば必然的にこのような決断になるのでしょう。エンゲージメントの強さと資本主義の関係を深く考えさせられるのです。この話を聞いて私は遠く日本から彼らを応援したくなりました。

ビールを通じた人と人との繋がりはどこまで伸ばし、広げることができるのだろう?