ハの字と富士山の話

Jun 15, 2016

何度も読み返している本があります。岡本太郎の「今日の芸術」というものです。時折読み返すとはっとすることがあり、もう10年以上それを繰り返しているように思います。発表されたのは随分昔のことですが、全く色褪せない私の大事な一冊です。

その本に「ハの字」のことが書いてあります。子供のお絵かきのことを思い出して下さい。大きくカタカナの「ハ」を書くと、それだけで富士山を表す「ことになる」ということを疑ってみようというものだ。同じく、丸にチョン、チョン、チョンと毛をはやしたものを太陽とすることも疑うべきものとしています。言われてみれば、確かに変な話です。富士山も太陽も、決してそんな形はしていない。でも、そういうことになっている。

通念として、もしくは常識として認識されていることが果たして正しいのかどうか。少なくとも、自分自身にとって正しいのか?という疑問を持ってみるのもたまには悪くないように思います。

たとえば飲みものに関して言うと、「飲みやすくて美味しい」という表現が好きになれない。どうしても私には納得いかないのです。何度聞いても「うーん」と首を傾げる。発言した方も、聞いた方もそれで通じていてなんとなく了解しているのだろうけれど・・・それによって何か確実なものを共有出来ているのだろうかと少し不安になる。少なくとも、自分の感覚に照らしあわせた時にそう感じるのです。同じように、英語のDrinkability(ドリンカビリティ)という言葉を「飲みやすさ」という意味で使うことも若干の違和感を覚えます。

「これさえ押さえておけばOK!の初心者向けクラフトビール」みたいな雑誌やwebの記事が乱発されているけれど、これは新しい「ハの字」と考えて良いだろう。なぜハの字は富士山なのか?それがなぜ初心者向けで、これさえ押さえておけばOK!になるのか?クラフトビール自体への興味も尽きないが、もしかしたら人間の認識や捉え方の方がもっと面白いのかもしれないと思う今日この頃。

 

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