無いのなら 買ってしまおう クラフトジン(字余り)
ビックリしました!!ペルノ・リカール社がモンキー47ジンを製造する会社の過半数の株式を取得したと報道があったのです。Bloombergの記事はこちら。
CRAFTDRINKSのブログを読んで頂いている皆様の多くはクラフトビールの愛好家の方だと思いますので、ペルノリカールとかモンキー47ジンは馴染みのないものだと思います。簡単ではありますが、順にご説明します。
上記の写真はフランスの薬草リキュール「ペルノー」です。こちらを製造しているのペルノ・リカール社です。リキュールだけでなく、ブランデー、ワイン、スピリッツなどお酒であれば何でも扱っています。世界最大級の総合お酒メーカーです。以下にペルノ・リカールの所有するブランドを挙げてみますが、「あぁ、あれはペルノ・リカールのものだったんだ!」と初めて気づくものも多いのではないかと思います。
- ウォッカ アブソリュート、ストリチナヤ
- ジン ビーフィーター
- テキーラ オルメカ
- ラム ハバナクラブ
- ビター系リキュール スーズ
- フルーツ系リキュール ディタ(ライチ)
- ワイン ジェイコブスクリーク
- シャンパーニュ ペリエ
- シングルモルトスコッチウイスキー グレンリベット
- ブレンデッドスコッチウイスキー シーバスリーガル
- アイリッシュウイスキー ジェムソン
一方、こちらがモンキー47ジンです。ドイツの高級ジンで、ボタニカルは高品質なものだけを47種類使用しています。度数も47°。2011年の発売以来、プレミアムドライジンとして高い評価を得ていて、今も世界中のバーテンダーを魅了し続けています。youtubeの動画も是非ご覧ください。創始者のインタビューや製造過程が見られます。
モンキー47ジンは「クラフトスピリッツ」とか「クラフトジン」という文脈で語られることが多いものです。ラベルの端に「handcrafted」と書かれてあるとおり、「最高の材料を使用した、職人によるスモールバッチの高級ジン」として大手のスタンダードジンとは違った捉えられ方をしています。記事の後半で以下のように識者が語っているのが印象的です。
“We are in this odd position where the big boys are clearly making moves in the craft area,” Eamonn Ferry, an analyst at Exane BNP Paribas, said in a note to investors. “The acquisition is an interesting move which shows Pernod’s willingness to embrace the craft small brand trend.”
世界の酒類大手が販売しているスタンダードスピリッツから消費者の嗜好・トレンドがクラフトへと移りつつあり、その流れに乗ってペルノ・リカール社はこの銘柄を買収したのでしょう。超メジャーブランドの固定化したイメージを急に変えるのは不可能です。既存のものをクラフトブランド化しようにもお金も時間もかかってマーケットの流れについていけません。その結果、ポートフォリオ強化のために余所のブランドを買収するということになります。「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス」ではなくて、「無いのなら 買ってしまおう クラフトジン」というわけです。
記事の最後には「今後世界展開を視野に・・・」のようなことも書いてあります。製造量を増やすということでもありますが、品質を落とさずに作って頂きたいと思います。ビールの世界も大手による買収が盛んですが、蒸留酒の世界も変わりありません。