IPAカスクフィニッシュウイスキー登場!! 2017.10.2追記あり

スコットランドのシングルモルトウイスキー、グレンフィディックから非常に興味深いウイスキーが登場します。その名もGLENFIDDICH IPA EXPERIMENT。CRAFT DRINKSがずっと言い続けてきた「クラフトビールはクロスオーバーだ」を体現するようなものに仕上がっています。

グレンフィディックではスタンダードの12年をはじめ、様々なウイスキーが発売されています。非常に人気の高いブランドですが、THE EXPERIMENTAL SERIESとして新たなアプローチのものが2つ発売されます。一つはPROJECT XX。通常マスターブレンダー一人が責任者としてウイスキーをブレンドしますが、今回のシリーズでは20名のエキスパートを招集してブレンド。予想もしなかった仕上がりになっているそうです。

もう一つが本題のもの。蒸留所のある地域にも多数のクラフトブルワリーがありますが、その一つのSpeyside Craft Breweryと協力して新たなアプローチのカスクフィニッシュウイスキーを作り上げました。何とIPAを寝かせるのに使った樽でウイスキーを熟成させたのです。

製法は以下の通り。左上から見て下さい。

順に見ていきましょう。
①IPAを仕込む
②ドライホッピングして仕上げたら、グレンフィディックの熟成に使用したアメリカンオークの樽に移す。
③樽を貨物コンテナで4週間静置。
④ビールは払い出し、空になった樽はダフタウンという街に持っていく。
⑤グレンフィディックのウイスキーをIPA樽に詰めて12週間熟成。
⑥出来上がり!

こんな説明もあります。

Our collaborators had a momentous task ahead. First, they had to design and create three separate brews of different strengths – freshly brewed IPA craft beer that could rest in whisky casks, later to be used to finish the Experimental Series variants.
コラボレーションする両者は大きな問題にぶつかりました。まず初めにそれぞれ違った強さのIPAを設計し醸造しなければならなかったのです。ウイスキー樽に入れて寝かせることが出来るフレッシュなIPAでなくてはなりません。そして、EXPERIMENTAL SERIESで後に使用することも見越して。

カスクフィニッシュ用に新たに生み出されたIPAのはずですが、残念ながらリンクが切れていて詳細が今のところ分かりません・・・・残念。

なにはともあれ、非常に興味深い試みです。ウイスキー樽熟成ビールはいくつもありましたが、ビール樽熟成ウイスキーはこれが初めてかもしれません。日本に輸入されたら飲んでみたいです。どんな仕上がりか、楽しみです。

2017.10.2追記
日本でもIPAカスクフィニッシュウイスキーが出ています。埼玉県秩父のベンチャーウイスキーさんからもIPAカスクフィニッシュのウイスキーが先日発売されました。志賀高原さんのIPAを入れた樽をウイスキーの熟成に使用したもので、ホップの苦味ではなく、フルーツのニュアンスが強かったです。今まで樽での熟成において生成される香味とは一線を画す仕上がりで非常に興味深い味わいです。個人的な見解ではありますが、ごく少量加水して飲んだほうが香りが開いて良いでしょう。甘みも感じやすくなります。

ボトラーズのe powerさんからも別のIPAカスクフィニッシュも出ています。右側から二番目のものです。こちらも面白いので見かけたら是非お試しください。